■バンダイ メディア事業部
[1] 使用目的が個人であれば違法ではなく禁止する考えはありません。
[2] 同上
[3] 個人視聴以外の権利は持っておりません。特に契約先のウォルトディズ ニーの作品については、ウォルトディズニー社の許可が必要のはずです。また
当社のオリジナル作品については、宣伝用の16m/m貸し出しフィルムが用 意してあります。ビデオではなく、こちらを利用してもらいたいものです。
[4] テープ2本組で7〜8ドルで売られているとの情報は初耳です。国内メーカービデオテープでダビング代を入れて60分物で600円位のはずです(10万本ロット)。
アメリカの場合、15ドルで販売する経済ロット(荒利益から投入した経費を差引いた純利益が生じさせるための最小生産ロット)は30万本と聞いております。
市場規模と契約金、制作費の償却等が値段に比例し現状の価格になっているのではないでしょうか。
[当社の場合、オリジナルアニメーション(ビデオ)の制作費60分物で4千万〜6千万円かかります。]
日本国内には領布権なるものがあります。権利が外国にあるものと国内のものとでは処理の仕方、内容がかなり違います。国内劇場映画のビデオ化で著作権の使用料金のみで上代[参考市販価格(下代=メーカーの卸価格の意味として一般的に使用しています)]の10%以上を支払います。上代の10%とは生産原価の2割以上を占めます。プラス制作費の償却費を加えるとかなり高い物になります。
以上が当社の説明ですが、不足の部分があると思いますが、電話でもお問い合わせください。
ビデオ市場はこれからと思っております。昨年当社はウォルトディズニー作品を低価格で販売いたしました。
かなりの数が販売できましたがこれからは消費者が購入し何回も楽しむ時代になると考えております。安ければ市場規模も拡がりもっとビデオが身近かなものとなってくれると思っております。
平成元年1月12日
■CBS・ソニーグループ
[1] 当社が発売しておりますビデオソフトをコピーすることは、家庭内における視聴または個人的な利用(著作権法30条に定められた利用方法。以下同様)であれば、権利者の許諾を得ることなく行うことができます。
[2] 営利を直接の目的としない場合でも、個人的な利用でない場合、又は間接的に営利行為に結び付くような利用を目的とするコピーは、違法行為となります。
例えば、大学祭・学校祭における営利を目的としない上映といえども、模擬店による収入等を高め、間接的に営利行為に結び付くような場合には、違法行為になると思料しております。
[3] 日本とアメリカとのビデオソフトの価格の差は、諸権利の処理料、代理人への手数料および品質管理、製造工程の違い、並びにおよそ10倍の格差がある市場規模の違いなどが複雑に影響し、価格の差となっていると思料しております。
尚、著作権法上の解釈につきましては、文化庁著作権課にお問い合わせ頂くのが最善かと思います。
1989年1月24日
以上
■小学館
[1] LDやレンタルのビデオソフトからの家庭内利用目的の本人による複製は、著作権法第30条の規定により適法とされています。
しかし、その複製物を他人に貸すなど、第30条規定を拡大解釈し、30条に定める目的以外に使用されますと、複製行為は、ただちに違法行為となります。
また、同一著作物を2個以上複製するとか、シリーズを全部揃えてライブラリーをつくることなどは、違法であるといわれております。
第30条のような著作権の制限条項を拡大する方向で解釈・運用するのではなく、権利の保護に重きをおくべきだということが、国際的な合意になっており、それが法解釈上の基本的な考え方になっています。
個人を告訴するかどうかは、その複製行為及び複製物の領布の実情を調査し判断することになります。
なお、ジャケット等に記載している文章には、著作権思想の啓発の意味がこめられているのです。複製については、法によって許容されるものもありますが念のために全体として権利侵害がないようご注意を申しあげるということが本旨です。
[2] 個人が家庭内の視聴を目的として、本人が複製することについては、[質問1]で記したとおりです。そして、たとえ、非営利目的であっても、複製のしかたや、利用のしかたによっては、違法性が生じます。これは放送の録音・録画でもまったくおなじです。
[3] 非営利の上映は、法第38条1項で許されておりますが、入場料等、何らかの費用の徴収がある時、あるいは別途何らかの収入がある時は、それぞれの権利者の許諾が必要です。
また、個人視聴を目的として貸与を受けたレンタルビデオを使用して公の上映をすることは、非営利であっても許されません。
権利の制限規定の解釈は、正当な判断の上に立って、運用、行使されるべきだと考えます。
[4] 市販ビデオソフトの価格は、ビデオソフト事業の継続、利用の拡大を目的として、また、製造費、権利処理の対価等を勘案した上で、最も合理的と考えられる価格を企業の自主責任において正しく設定しており、単純に諸外国と比較することも、合理的とはいえません。
たとえば一般論として、諸種の著作物の価格、あるいは農産物の価格、ガソリンの価格など、多くのものが日本と米国との間で差異があり、単純に米国を基準にすることはできないと考えます。
ビデオソフトとLDの価格の相違は、あくまでコストの違いによるものであります。
※ 年末年始の多忙期のため、ご返事が遅れたことをお詫びいたします。あしからずご了承ください。
小学館 メディアミックス事業部
■テイチク社
平成元年2月14日
テイチク株式会社 社長室法務
お問い合わせの件につき,下記の通りご回答申し上げます.但し[4]のお問い合わせにつきましては,回答を差し控えさせて頂きます.
[1] LDやレンタルのビデオソフトからの,家庭内における利用目的で本人による複製につきましては,著作権法第30条により違法ではありません.
法は『個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内』での使用と定めています.その範囲を越えて使用されますと,複製行為が違法行為となります.
[2] 営利に使用しない場合でも,複製方法,利用方法によって違法性が生じてきます.テレビやラジオの録画や録音も同様です.
[3] 市販ビデオソフトの営利を目的としない上映につきましては,著作権法第38条1項により許されておりますが,何等かの報酬が支払われる場合は,個々の権利者の許諾が必要となります.また,個人視聴を目的として貸与を受けたレンタルビデオソフトを使用して公の上映をすることは,非営利であってもできません.テレビ番組を録画して使用する場合につきましても,権利者の許諾が必要となります.
以上
■TDKコア社
[1] LDやレンタルのビデオソフトからの家庭内利用目的の本人による複製は、著作権法第30条により違法ではありません。
しかし、その複製物を他人に貸すなど、第30条にある条件を越え、30条に定める目的以外の目的のために使用されますと、複製行為が違法行為になります。
また、複製数量が2個以上になるとか、シリーズを全部揃えてライブラリーをつくることなどは、違法であるといわれております。
第30条のような著作権の制限条項を、拡大する方向で解釈・運用するのではなく、権利の保護に重さをおくべきだということが、国際的な合意になっており、且つ、法解釈上の基本的な考え方になっています。
それ故、個人を告訴するかどうかは、その複製行為及び複製物の領布の実情によって、判断することになるものであります。
なお、ジャケット等に掲載していることは、著作権の尊厳を求めているものでありまして、複製については、法によって許容されるものもありますけれども全体として権利侵害がないようご注意を申し上げているものであります。
[2] 個人が家庭内の視聴を目的として、本人が複製することについては、上記したとおりで、非営利目的であっても、複製のしかたや、利用のしかたによっては、違法性が生じます。これは放送の録音・録画でも全く同じ事であります。
[3] 非営利の上映は、法第38条1項で許されておりますが、入場料等、何等かの費用の徴収がある時、あるいは別途何等かの収入がある時は、個々の権利者の許諾が必要となります。
また、個人視聴を目的として貸与を受けたレンタルビデオを使用して公の上映をすることは、非営利であってもできません。これらの権利の制限規定は狭く解釈して頂きたいと存じます。
[4] 市販ビデオソフトの価格は、ビデオソフト事業の継続、利用の拡大を目的として、また、製造費、権利処理の対価等を勘案した上で、最も合理的と考えられる価格を企業の自主責任において設定しており、単純に諸外国と比較することも、合理的ではありません。
また、一般論として、諸種の著作物の価格、あるいは農産物の価格、ガソリンの価格など、多くの物が日本と米国との間で差異があり、単純に米国を基準にすることはできないということを、御諒解頂きたいと存じます。
独自に回答されたメーカーは,以上16社です。
つづく
3.社団法人日本ビデオ協会の回答の回答
■社団法人日本ビデオ協会の回答 −− 平成元年3月2日 −−
昨年来貴殿より弊協会会員ビデオソフトメーカーに対しご紹介のありました「ビ
デオソフトのコピーに関する問い合わせ」に関しまして,会員数社からの要望に
より,これらを代表して弊協会としての見解を以下のとおり回答申し上げます.
[1] 現行の著作権法では,ビデオソフト(カセットやディスク)からの家庭内視
聴目的の本人による複製は第30条により違法ではありません.換言すれば,
その複製物を他人に貸すなど,第30条にある条件を越え,第30条に定める目
的以外の目的のために使用されますと,複製行為は違法行為になります.
この第30条は昭和45年の著作権法改正時に新たに規定されたもので,それ
までの“器械的方法で複製することは著作権侵害”という旨の条文を改めたも
のです.その後全国的に複製機器が普及し広く家庭内で利用されるなど当時
予想もしなかった事態が生じ,複製使用料収入に依存して創作活動をしている
著作権者や著作隣接権者の利益を損なうに至りました.国際的な著作権保護
のためのベルヌ著作権条約第9条の2によれば,自由利用も“著作権者の利益
を不当に損なわないこと”が条件とされていることからも,日本の実態は条約違
反状態にあると言えましょう.文化庁も,これは放置できない大変な問題として
昭和52年,第30条の改正問題の検討を開始し,今日著作権審議会第10小
委員会の場で何等かの対策を求めようと検討を続けているわけです.
すなわち,第30条によれば合法でありますが,第30条自体が国際的に問題
のある条文になっていることをご承知願いたいと思います.
いずれにしても,第30条のような著作権の制限条項を,拡大する方向で解釈・
運用するのでなく,権利の保護に重きをおくべきだということが,国際的な合意
になっており,且つ,法解釈上の基本的な考え方になっています.それ故,個人
を告訴するかどうかは,その複製行為及び複製物の上映,頒布の実情によっ
て,判断することになるものであります.
なお,ジャケット等に記載していることは,著作権の尊重を求めているものであ
ります.特に問題の多い第30条の自由利用を敢えて記載することはむしろ不
適当と考えます.複製については,法によって許容されるものもありますけれど
も,全体として権利侵害がないようご注意を申し上げているものであります.もし
権利侵害があることを記載するとすれば第30条だけでなく多くの制限規定も詳
しく記載しなければならなくなり,現実問題として記載スペース等の制約もあって
困難と考えます.
[2] 個人が家庭内の視聴を目的として,本人が複製することについては,上
記したとおりで,非営利目的であっても,複製のしかたや,利用のしかたによっ
ては,違法性が生じます.これは放送番組内容の録音・録画でも全く同じことで
あります.
[3] 法第38条1項では,非営利目的の上映は許されておりますが,入場料
等,何らかの費用の徴収がある時,あるいは別途何らかの収入がある時は勿
論のこと,無料であっても宣伝,顧客集めなどを目的とした上映の場合も営利
目的と解され,個々の権利者の許諾が必要となります.この条項も今日のよう
なビデオソフトの出回り状況を想定していなかった当時設けられた規定で,現
在の実情にてらして問題がないわけではありません.
これらの権利の制限規定は狭く解釈して頂きたいと存じます.
[4] 市販ビデオソフトの価格は各社の方針に基づくものであり,当協会は見解
を述べる立場にないことをご了承下さい.
次のメーカー7社も日本ビデオ協会と同じとの事です。
■ アスミック社(口頭による回答)
アスミック社としては、ビデオ協会の見解が正式な回答である。
■ 東映ビデオ社
現在,各社を代表して,日本ビデオ協会で検討しており,近日中に協会から,ご
返答させて頂く予定です.
■ 松竹(株)
松竹としては,日本ビデオ協会を通して御返事申し上げます.
■ ポニーキャニオン社
近く,ビデオ協会を通じまして,ご回答致します.
■ 日本コロムビア社
ビデオ協会を通じて回答する。
■ ビデオアーツ・ジャパン社
著作権などの問い合わせ、4項目に関しましては、質問事項が普遍性を有して
いることもあり、弊社が所属いたします社団法人ビデオ協会を通じて回答させて
いただきますことを御了解ください。
■ 東芝イーエムアイ社
先般、お問い合わせいただきました著作権他の件に関しまして「弊社は1/15
日迄に回答致します」とのお葉書をお送りしましたが、ご質問が、大変、普遍性
が有りますので、(社)ビデオ協会を通じて、お応えさせていただきたく、ご連絡
を申し上げます。
[以上7社]
4.文化庁著作権課の回答
大手のソフトメーカー数社から,著作権については,文化庁著作権課に問い合
わせるのが最善であると言うご意見があった為,実行しました.
文化庁著作権課への問い合わせの内容は,メーカーへの問い合わせの[4]の
質問(ソフトの価格など)を省略しております.
文化庁著作権課への質問事項
[1] テレビやラジオの番組の録画や録音は、家庭内における個人の使用に
限って黙認?されているが、レーザーディスク(LD)やレンタルソフトを含めたビ
デオソフトのコピーは、家庭内における個人での使用の範囲でもコピーは違法
か。(著作権法第三十条の解釈について)
関連ですが、LD(レーザーディスク)等のソフトのジャケットには「無断で,複製、
放送、上映、公開演奏、レンタルすることは法律で禁じられています」と明記さ
れているが、家庭内における個人の使用でもコピーは禁止されるか。
[2] 営利に使用しない場合でもコピーは違法か。
もし違法であれば、テレビやラジオの録画や録音も、厳密には、コピー行為であ
るため違法と言うことにならないか。
[3] フジミック(フジ・サンケイ・グループ)が主宰している、EYE−NET(アイネ
ット、会員約6千人)のAVコーナーにおいて「大学祭、学校祭などでの営利を目
的としない上映やコンサートは違法ではない」という意見があったが、この件に
ついて著作権法上の解釈はどのようになっているか。特に著作権法第三十八
条の解釈について。
文化庁著作権課の回答(口頭による回答)
[1] 著作権法第三十条,「家庭内での視聴の為の複製」の範囲内であれば合
法である。また、結合関係の強いサークルなどのメンバー4〜5人が視聴する
ための複製も許される。
しかし、極めて親しい友人相互間においても、複製物の売買や賃貸などで利益
をあげることや、著作者の許諾を得ず、営利を目的に複製を行うと、第四十九
条の、目的外使用に該当し著作権法違反になる。
[2] 著作権法第三十条の範囲内であれば合法であるが、非営利であっても、
複製した著作物の頒布やビデオライブラリーとしての複製は違法である。
[3] 著作権法第三十八条第一項により、非営利目的で、既に興行などで公表
された著作物であれば、著作者の許諾を得ないで上映は許される。
つまり、次の三項目全ての条件に合致していること。
(1) 営利を目的としないこと。
(2) 無料であること。
(3) 無報酬であること。
ただし、実質的車代であれば問題としない。
次に、著作物を、営利目的で使用する場合は、著作者の許諾が必要であり、間
接的に利益をあげるための使用は違法である。
著作権法第三十条および第三十八条は、厳正に解釈すべきである。
なお、現在の著作権法第三十条は複製機器の普及のため、昭和59年に改正
されたものである。 以上
平成元年2月1日
文化庁文化部 著作権課
つづく
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