/// おわりに ///
最後にディスクの寿命ですが,パイオニア社等ほとんどのメーカーは,半永久的と述 べています.レーザーディスクとVHDとの競り合いの時期は,高画質,高音質,高信
頼性に加え,非接触だから『半永久的』に使用できる,という大宣伝が決定的な勝敗 の分かれ目になったと思われます.
しかしこれまで述べてきましたように,レーザーディスクには,まだまだ解決しなければ ならない問題がありそうです.
ディスクの寿命について,はっきり言えることは,ディスクを購入した時期から経年変 化が起きた時期までと考えた方が良いと思います.
つまり,1986年に購入し1988年に経年変化が発生したらそのディスクの寿命は【2 年】であったということです.これは極端な例ですが,実際に私が経験した例です.
レーザーディスクの寿命についての要望は,半永久までは要求しませんが,映像用 ネガフィルム(RGB分離式)程度の寿命があれば問題はないでしょう.聞くところによ
ると,現在の映像用ネガフィルム(RGB分離式)は300年位は画質を維持できるそう です.
これが無理であれば,百歩譲って、人の平均寿命(70年?80年)程度はレーザーデ ィスクの品質を維持できるよう改善していただきたいと思います.レーザーディスクを,
あの世まで持って行けませんからね.
パイオニア社では,レーザーディスクを来年から現在の月産150万枚から一気に3 00万枚体制にしようとしており,これは問題点は既に解決済みという自信の現れのよ
うにも受け取れます.実際,現在のディスクは過去のものと比べると信頼性が高いでし ょうが,問題は経年変化が起きた場合の対応です.すべてのメーカーにいえることで
すが,「在庫がないから,あるいは廃盤になったから他のタイトルで我慢してください」 では,ユーザーは到底納得しないでしょう.
レーザーディスクは,最先端の技術であり更に発展するでしょう.これは,数年前は圧 倒的多数であったVHD陣営を相手に,光学ディスク技術で勝負をしたパイオニア社の
不屈の精神の賜物であり賞賛したいと思います.更に,「営利第一」よりも「品質第一」 を目標に発展されることを希望します.
おわり
1989年10月14日
石川栄一
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