私が1989年5月より、約半年間かけて「レーザーディスクの経年劣化に対する販売元 への対応調査」を行いました。そのときに各メーカーから寄せられた回答と私の見解
を掲載します。
現在は DVDに押されて存在感の薄れたLDですが、発売当初どのようなことがあった のか、また、各メーカー がどのような対応を講じていたのかを知るひとつの資料として
お役立て下さい。
/// はじめに ///
レーザーディスクの寿命について,最大手製造元であるパイオニア(株)専務取締役は 某AV誌において「ピックアップが非接触ですから,ディスクが『半永久的』に使える」と
述べています.
また,ASCII出版「レーザーディスク テクニカルブック」[監修パイオニア(株)]の20ペ ージにおいても,
光学式の最大の長所は,ピックアップを記録面に接触させずに信号を読み取ることが できる点にあります.その結果,ピックアップやディスクが磨耗せず,『半永久的』に高
品質の映像を再生することができます.
このような長所が認められ各社より生産,販売されて,現在では全世界に普及しつつ あります.
というように,光学式の最大の特長は『半永久的』に使用できる点にある,と断定して います.この『半永久』の意味について国語辞典「広辞林」で調べてみると「ほとんど永
久に近い年月」となっています.そこで[永久]と言う意味を調べると「時の無限に続くこ と.永遠.とこしえ」と説明されています.
つまり,「レーザーディスクの寿命は永遠に近い年月」ということになります.しかし,ソ フトメーカーの言によると,いまだにレーザーディスクの経年変化に対するクレームが あるようです.この経年変化の状態については,端的に言いますと画面にスノーノイズ (テレビのアンテナを外したように画像がザラザラになる)が現れたり,あるいは音が
歪んだり再生不能になることもあります.
原因は,ディスクの保護樹脂より浸透した空気中の水分が,アルミの反射膜を腐食す るためです.そのため大手ディスク製造メーカーであるパイオニア社は,水分からアル
ミ表面を保護するため,酸化保護膜を形成する対策をしたわけです.
時期的には,P社の場合,1985年後半から製造されたディスクは対策済みであるよ うです.
しかし,1985年前半以前に製造発売された未対策のディスクを回収せずに店頭にな らべさせておくのは商法道徳上問題といわざるをえません.特に初期(1983年頃ま
で)に製造発売されたディスクの経年変化率は極めて高いため全て回収し再プレスを 行ない再発売すべきなのです.
H社によるプレスの場合は,1986年に発売された製品についても経年変化が発生し ています.ソフトメーカーX社の場合はH社によるプレスが多いため気をつけなければ
なりません.たとえば,自己防衛として発売年度が古いものやH社のプレスによる製品 を購入した場合は,テープにダビングするなど.というのは,後述する各ソフトメーカー
の回答にもあるように,ほとんどのメーカーは経年変化の対応をしておりますが,在庫 が無かったり廃盤になることも多く,経年変化を起したものと『同じタイトルが入手でき
るとは限らない』のです.
メーカーはこの場合「同等品や代替品と交換する」と述べています.ハードの場合は同 等品や代替品という意味がわかりますが,ソフトの同等品や代替品とはどのような意
味なのでしょうか.メーカーが言うのは”金額的に同等”という意味で,タイトルが同等 でないことは当然です.また代替品で我慢してくださいというのは,魚屋で「”イカ”がな
いから”スルメ”にしてください」と言われるのと同じような意味なのです.すなわち外見 が似ていても内容が違うものしかありませんということです.
そこでユーザーは仕方が無いから,全然違う 内容のものと交換させられることもある でしょう.
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