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| 写真クリックで拡大(同映画BD映像より) |
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17年の間、只一筋に仏の道を求め、叡山を中心に日本全土をあまねく
遍歴した蓮長は「吾れ今日より日本の柱とならん」と心に誓った。 |
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蓮長は生地、安房国清澄寺に集った人々の前で開宗第一声を放った。
「現在の仏法はすべて邪法だ、法華経以外に真の平和は得られぬ」と
説く彼の言葉は、人々の期待を裏切り追放される身となった。 |
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彼の両親は改めて説かれ最初の法弟子となった。力を得た蓮長は名を
『日蓮』と改め、救国救民の首途(かどで)につき鎌倉に庵を結んだ。 |
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日蓮を憎む幕府重臣、極楽寺重時の館で
舞う白拍子吉野(淡島千景) |
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| 日蓮は、弟子、日昭を得た。 |
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日蓮は連日、南無妙法蓮華経の旗を掲げ
辻説法をつづけた。 |
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吉野は、首打ち役人である依智の三郎から
日蓮の居場所を追求されるが、答えないため鞭打たれる。 |
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大地震で鎌倉が崩壊。隠れ家を出て難民救済に当たっていた
その最中、幕吏に発見され、伊豆へ流罪となった。 |
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九州博多には、世界を席捲した蒙古からの使者が到着した。
執権となった時宗は、蒙古の世界制覇の野望を見破り、使者を追放した。 |
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日蓮を理解し救おうとする比企大学(石黒達也)と
比企小次郎(梅若正二) |
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伊豆から生還した日蓮も、蒙古船の訪れこそ国難の前兆と、各方面に
警告の書状を発し、時宗に面会を求めたが、幕吏によって捕縛される。 |
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鎌倉、龍ノ口で日蓮の処刑を嘆き
念仏を唱える弟子や信者たち |
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依智の三郎が日蓮を斬首しようとした瞬間、雷鳴、落雷により
刀が吹き飛ぶ。日蓮は再び難を免れたが佐渡へ流刑となる。 |
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日蓮が警告しつづけた異国侵略が事実になったとき、鎌倉幕府執権、
北条時宗は日蓮を赦免し鎌倉に迎え、国難に対し助言を仰ぐ。 |
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蒙古十万の軍船が来寇、壱岐、対馬を血祭にあげ、
ついに博多湾に迫った。 |
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| 幕府執権、北条時宗は鎌倉武士(日本軍)の出陣を命ずる。 |
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ついに蒙古の大軍が博多に上陸。
火薬を使った鉄炮や投石器など、日本軍が見たことがない武器を
使い、数をたのむ蒙古軍は非常に強く、博多が焼き払われる。 |
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日蓮は、博多の一角で敵国降伏を祈りつづけた。応戦する日本軍は
すでに三割の兵力を失い、遂に決戦を迎えることになった。 |
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日本軍は蒙古の軍船に夜襲をかけ、数隻に損害を与えたが、
数百の軍船に対しては、虚しい戦法であった。 |
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しかし、突如として起った暴風雨は、
蒙古の軍船を海底深く葬り去った。 |
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| 翌朝、博多湾には蒙古軍の軍船はなかった。 |
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夜を徹して祈りつづけた日蓮の前には、
日輪が厳かに昇りつつあった。 |
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| <日蓮と蒙古大襲来 完> ☆ E.Ishikawa ☆ |
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私が30年前に購入したVHDデスク(写真クリックで拡大)
この頃のVHDディスク版の解像度は、ビデオテープ並みの画質で高画質とは言えません。現在、販売されているDVD版やBD版は格段に画質が良いです。 |
私が最初に「日蓮と蒙古大襲来」を見たのは、たぶんテレビだったと思います。この映画自体は、1958年(昭和33年)、私が小学五年生の時に映画館で上映されましたので、ポスターや新聞広告などで知っていました。
当時私はまだ小学生ですから、日蓮宗や真言宗といった宗教のことなど全く関心が無く、また「神風」が吹いて蒙古軍が全滅した程度のことしか分かりませんし、このことは以前から人から聞いて知っていましたので、話題にもなりません。
また1958年(昭和33年)は、自宅が中央区から北区に移転したばかりの年でしたので、何となく慌ただしくて、子供ながら、映画どころの話しではなかったような記憶があります。
しかし日本では、当時はまだ「神風」が吹いて日本が救われたという迷信のような話しが信じられていたと思います。それが事実だとすれば、何故、日本がアメリカと戦っているとき、神風が吹かなかったのか、これもまた不思議な話でもあります。
「神風特攻隊」でも神風を起こせず、まだ若い将兵らを大勢、自爆テロのような戦法で死なせてしまったとしか思えませんし、当時の軍事政権は「バカな大将、敵より怖い」と言われても仕方がないでしょう。 「有能な敵より無能な味方を恐れよ」とはよく言ったものです。
今の日本も、そのような状態だと思います。台湾有事に日本が参戦すると思わせるような発言を、愚かな大将が言い出す始末。しかし、内閣支持率が70%というから更に怖い話しです。
これじゃ現在の政権は「自民党美人局政権」のようなものです。いまに必ず70%の内閣支持者は後悔するでしょう。
もし台湾有事で戦争(中華内戦)が勃発し、それに対し日本が参戦しようものなら、現在の自衛隊の戦力では、3日と持たないでしょう。
日本は愚かな大将という人災で沈没してしまいます。
首都東京や54基の原子力発電所にミサイルが雨あられのように降ってきて、日本は木っ端微塵に吹き飛ばされてしまいます。
もしいま日蓮がいたら「為政者はもっと慎重に慎重を重ねて発言し行動せよ」と言うでしょう。
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| 「現在の仏法はすべて邪法だ、法華経以外に真の平和は得られぬ」と説く彼の言葉は、人々の期待を裏切り追放される身となった。 |
さて、蓮長(日蓮)が「現在の仏法はすべて邪法だ、法華経以外に真の平和は得られぬ」と開宗第一声は、他の宗派の人々の前では、なかなか言えるものではありませんが、打ちつづく天変地異は、末法の到来を示すものであり、邪教のために正しい法である法華経が見失われてきたためだとして、言わなければならなかったのかも知れません。
まあ、この映画はドラマですから、史実は分かりませんが、このまま「邪教」を放置すれば、経典に記された三災七難のうち、まだ起こっていない反乱と外国から侵略をうけると、幕府が法華経にもとづく政治を行うよう求める『立正安国論』を著し、執権・北条時頼の側近に提出したから、他の坊さんが怒るわけです。
現在の政治は、政教分離が基本ですが、現実的には、右派の生長の家創始者の日本会議や創価学会、旧統一教会の支援で政権を維持してきた汚職と裏金三昧の自民党の政治家を見ると、一生懸命、真面目に働いて税金を納めている国民が気の毒に思います。
平安時代までの仏教は、天皇や貴族が中心の地位が高い人だけの仏教でしたが、鎌倉仏教では、信仰のしやすさ、また現実に、地震、飢饉、疫病が多発し、更に二度の元寇の脅威があり、人々が苦しめられていた時代を背景として、仏教は庶民や武家にまで広まったようです。
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長谷川一夫の気合いが満ちています。
本物の坊さんも太刀打ちできないでしょう。 |
この映画の主役、長谷川一夫の圧倒的な存在感が、法力に説得力を持たせてしまいます。長谷川一夫は忠臣蔵の大石内蔵助役でも超有名です。白拍子、吉野の淡島千景は、宝塚歌劇団のトップスター出身で、東宝映画で森繁久彌の相手役を演じ、また本作品のヒロイン役をつとめています。
北条時宗を演じた市川雷蔵は、眠狂四郎でも有名。まだ二十六歳とは思えないほどの存在感です。
比企小次郎役の梅若正二は、私が子供の頃、憧れた「赤胴鈴之助」でも有名です。あの”真空斬り”(武器を頭上に掲げてから振り下ろし、真空の刃を前方に放つ戦技)を連想します。
そして、勝新太郎の若侍、四条金吾を演じた姿は、あの有名な座頭市とは思えません。
これだけ主役級の有名人を揃えた作品でしたが、興行収入は制作費よりも少なかったようです。これは、あまりにも宗教色が強いため、それが裏目に出たのかも知れません。
それでも、現在はCGで簡単にできるものを、よくぞこのような大作を70年前に作られたものだと、感心してしまいます。
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九州博多に押し寄せる蒙古の大軍。
オープンプールとは思えないほどの大迫力です。 |
クライマックスの海洋シーンでは、本作のために88548平方メートルの面積の巨大なオープンプールが作られました。
蒙古軍の上陸シーン、炸裂する鉄炮、迎え撃つ鎌倉武士(日本軍)たち、略奪する蒙古軍。そして、蒙古船団が暴風でぶつかり合い、火を吹きながら、次々と沈んでいく描写は、もの凄い迫力で目を見張ります。 |
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